::: 生理学者の無精卵 :::

有意義な毎日を送るアナタに無駄な時間をささげます。
2005年04月16日

全ての読者たちへ

 自殺をしたい人の心境がよくわからない。一度はやりたいこと、一度は行きたいところ、一度は見たいもの、一度は聞きたいことや一度は食べたいもの。そういうものを挙げさせればいくらでも出てくるような性分だから、死んでこれ以上の新しいことを得られなくなるのは耐えられない。

 もし世の中の全てをやりつくし、行き尽くし、見尽くして聞き尽くして食べ尽くしてしまい、新しい「何か」がもはや何も得られないことが解ったとき、ひょっとしたらワタシは自殺をするかもしれない。でも世の中全てを知るだなんて、そんな可能性は皆無である。だからワタシが自殺をすることはありえないだろうし、だからワタシには、自殺をしたい人の心境が、本当にわからない。

 わからないだけじゃなく、自殺をする人は嫌いだ。自分の命だから自分がいつ閉じてもいいのだなどというのは傲慢だと思う。訃報に接した親しい友人や家族はもちろん、たとえ親しい仲でなかったとしても、知っている人物が死んで暗い気持ちにならない人間はいない。病死や自然死のたぐいであったとしてもそうなのに、自殺となればなおさら暗い気持ちになる。たとえ天涯孤独であったとしても、知り合いの一人もいないような人間はいない。ましてや残された家族がいればなおさらだ。そんな人々の気持ちも一切考えず、てめぇ一人がラクになりたいからって首をくくるようなヤツは、ワタシは心底嫌いだ。


 ある時、ワタシの好きな作家が自殺した。彼女の著作は10冊以上持っているし、そのほとんどがハードカバーだ。彼女のデビュー以来、著作を見つけては買ってきた。しかし彼女が自殺して、ワタシは彼女を嫌いになった。彼女は、彼女に言わせると「自分が飼ってやらなければ絶対に他の飼い主なんて見つからない」ような、みすぼらしい外見の犬を飼っていた。身寄りのない犬がいると聞いて引き合わされ、その犬を見た瞬間にそう感じ、その犬を飼うことを決めたという。

 彼女はその犬を残して自殺した。その一点だけで、充分彼女を嫌いになった。そして彼女の著作を読み返すことも、ワタシはしなかった。彼女の親しい友人が、犬のことは心配要らないとウェブサイトで書いていたのだけが、救いだった。


 そして今日、高校時代からの親しい友人が自殺したとの知らせを聞いた。信じ難かった。確かにどこか破滅願望のようなものがあるヤツだった。だからといって、自殺することはなかろう。何があったんだ。それとも何がなかったんだ。それ以前に、何様のつもりなんだ。


 彼との出会いは、小学校時代に通っていた家の近所の塾だった。ワタシは小・中・高と私立の学校だったから、家の近所に友達はいなかった。友達は電車に乗って会いに行くものだった。しかし彼がワタシの通う高校に入学してきたことで、ワタシの人生で始めてできた、近所の友人だった。フラッと遊びに行って、ムダ話をして、おばちゃんに晩飯をごちそうになって、親父さんと酒を飲んだ。妹さんともよくしゃべった。そいつも時々ウチに遊びに来たし、お互いがお互いの家族全員をよく知っていた。特別ウマが合うような大親友とまでいうわけではなかったけれど、それでも互いの家の間取りを知り尽くしているような関係は、生まれて初めてだった。わかってるか、お前は俺からそれを奪ったんだよ。気づいてないかもしれないけれど。


 あなたが友人の誰に対してどう考えているか、それは誰も知らないことだと思う。必ずしも親しい仲じゃなかったとしても、自分の人生を変えた人、大きな影響を与えられた人、何かに関して初めてだった人、目標にしている人、絶対に負けたくない人、いろんな意味であなたの人生に重要な人というのがいるはずだ。

 そして、それらは誰にも知られていないことであるということは、裏を返せば、あなたが思いもよらない誰かが、あなたに対してなんらかの重要性を見出しているかもしれないということだ。自殺をするということは、そんな周りの人たちの気持ちをすべて踏みにじるということだ。


 死後の世界なんてないんだよ。生まれ変わりなんて嘘っぱちなんだよ。見たことあんのか、証拠を出せよ。死んだらただのタンパク質の塊になって、焼かれて終わりなんだよ。お前のせいで俺は今日一日仕事にならねえんだよ。わかってんのかよ。


 件の作家を思い出して、久々にウェブサイトを訪れた。彼女が死んだのは、ちょうど1年前だった。1年前も、こんな気持ちを味わっていたのか。ましてや今度は、15年来の友人だってんだ。15年来の友人だってのに、葬式に行ってやることも焼香あげてやることも香典やることもできねえんだよ。おばちゃんもおっちゃんも妹さんも親しいってのに、誰一人に声もかけてやれねえんだよ。ただ地球の裏っかわで、涙目で弔電送ってブログ書き殴るしかできねえんだよ。そういう気持ち少しでも考えたことあんのかよ。

・・・・・・・・・・・・・・

 あなたはワタシのどういうお知り合いですか。親しい友人ですか。現実に顔を知っている仲ですか。ネットの中だけの知り合いですか。それともただの通りすがりの方ですか。どんな仲であれ、ワタシはあなたが死ねば、嫌な気がします。自殺となればなおさらです。これ以上、こんな理由で人を嫌いにさせないでください。別に死にたければ死ぬのはとめません。ただ、自殺するくらいなら、失踪してください。残される人たちに、救いを残してあげてください。

 それがワタシからの、お願いです。

駄文万歳。でもここはクリックしないほうが世間のため?

Posted by Museiran at 03:02 | ご意見ご感想誹謗中傷はComments (2) とかTrackBack (0)とか掲示板とかメールとか。

Comments

俺もおんなじ気持ちやったけど

悔しくて悲しくてさびしいけど

嫌いになるなんてできひんよなー

がんばって生きていこうぜ

up.gif Posted by: つじ on 2005年04月18日 02:16

ほんとにやりきれない・・・。
言葉が見つからないけど・・・心の真ん中であなたの言葉受け止めたから。。。

up.gif Posted by: CHIE on 2005年04月21日 00:24
Post a comment